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大工さんや着物関係の方と話をすると、一尺とか一間とか、聞きなれない長さの単位で話されることがありますよね?
今回は、一尺とは何センチなのか、また、その成り立ちなどを中心に、昔ながらの長さの単位について解説してみたいと思います。
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一尺とは何センチ?
現代日本では、一尺は、約30.30303センチです。
厳密には、現代日本で使われている「尺」という単位には、「曲尺(かねじゃく)」と「鯨尺(くじらじゃく)」という2種類があります。
曲尺の長さが先ほど紹介した約30.30303センチで、鯨尺とは約37.8788センチです。
一般には曲尺が使われ、鯨尺は呉服などに使われます。六尺褌や三尺帯など、衣類に使われる尺は鯨尺です。
そこで、ここでは、特に一般的に使われる曲尺のことを「一尺」として解説します。
現代日本における一尺とは?
先ほどから、「現代日本における一尺」というフレーズを何度か使用しています。
これは、「現代日本の一尺」と「江戸時代以前の一尺」では長さが違っているからです。
現代日本における一尺とは、明治時代に制定された度量衡法という長さや重さなどの単位を定める法律によって何センチかが決められました。
当時、日本では尺貫法という昔ながらの単位を使用していましたが、日本国が度量衡の国際的な統一を目指したメートル条約に加盟したため、従来の尺貫法で使われていた単位をメートルやキログラムに換算する必要が出てきました。
そこで、一尺とは「10/33メートル」であるということが法律で定められました。
10÷33は割り切れないですし、「10/33メートル」というのもそのままでは使いにくいので、便宜上「約」30.30303センチと言われるようになったようです。
ちなみに、一寸とは30.30303センチの1/10なので約3.03センチですし、一間とは30.30303センチの6倍なので約180センチと言われます。
昔の一尺とは何センチ?
それでは、明治時代の度量衡法で定められる以前の一尺とは何センチだったのでしょうか?
それは、時代によって異なります。
最初、中国で定められた一尺とは、親指と人差し指を広げた長さで、約18センチくらいでした。
ちなみに「尺」という漢字の成り立ち自体が親指と人差し指を広げた形をかたどったものなのだそうです。
しかし、「親指と人差し指を広げた長さ」では、人によって長さが違ってしまうので、後に「一尺とはこの長さ」と定める「公定尺」というものが定められました。
公定尺は時代とともにだんだんと長くなり、日本に唐から入ってくるころには一尺とは約26センチ程度になっていました。
その後、様々な変遷を経て、日本では京都系の竹尺と大坂系の鉄尺というものが主に使われるようになりました。
後に、伊能忠敬がこれらの平均をとった「折衷尺」というものが作られ、明治政府はこの折衷尺を公式の曲尺として採用することになったのだそうです。
いかがだったでしょうか?
昔の単位だと思っていた「尺」という単位の長さが、実は明治時代に制定されたものだというのは驚きですね。
割り切れる数ではありませんので、一尺とは何センチ?と問われたら、「だいたい30センチ」と覚えておくのが便利で良いでしょう。
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