戸籍法77条の2は、「離婚の際に称していた氏を称する届」とも呼ばれるもので、通常は、離婚すると旧姓に戻ってしまいますが、この戸籍法77条の2の届を提出することで、婚姻していた時の氏を名乗ることができるというものです。
ただし、この戸籍法77条の2の届は、届出のタイミングによって書き方が少し変わってきますので、注意が必要です。
今回は、この戸籍法77条の2の届出の注意点と書き方をご紹介します。
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戸籍法77条の2の届出の注意点
まず、戸籍法77条の2の届出で一番注意するべきポイントは、離婚届を届出た翌日から3か月以内に提出しなければ受理されないということです。
その期間内にさえ戸籍法77条の2の届を届出れば、手続き自体はものすごく簡単に終了します。
ちなみに、離婚届の届出後、3か月以上経過してしまってから、婚姻していた時の氏に戻りたくなった場合は、戸籍法77条の2を届出ることができませんので、家庭裁判所の許可をとってから「氏の変更届」を届出ることになります。家庭裁判所での許可を得るためには、どうしてもやむをえない事情があるという場合に限り許可がおりますので、戸籍法77条の2の届のようには簡単に氏を変更することはできません。
それでは、次に、戸籍法77条の2の届の書き方を見ていきましょう。
戸籍法77条の2の届の書き方
戸籍法77条の2の届の書き方はタイミングによって違うと書きましたが、そのタイミングとは、「離婚届の届出と同時に提出する場合」と「離婚届の届出の後に提出する場合」です。
市区町村のホームページなどに記載されている例のほとんどが、前者「離婚届の届出と同時に提出する場合」の書き方になっていることに注意してください。
まず、戸籍法77条の2の届の用紙はこのようなものです。この例も、離婚届の届出と同時に提出する場合の書き方になっています。
では、順番に戸籍法77条の2の届の書き方を見ていきましょう。
- 離婚の際に称していた氏を称する人の氏名
これは、現在のあなたの氏名を記入します。離婚届と同時に届出る場合は婚姻時の氏名、離婚届の提出とは別の機会に提出する場合は、旧姓に戻ってからの氏名を記入します。 - 住所
これも、現在の住民登録をしている住所と世帯主を記入します。離婚届の届出後の場合は、旧姓に戻る際に決めた住所となります。 - 本籍
これは、離婚届と同時に戸籍法77条の2の届を提出する場合は、婚姻時の配偶者の本籍地と名前を記入します。離婚届の届出とは別の機会に提出する場合、親の戸籍に戻った場合は、親の戸籍の本籍地とその筆頭者の氏名を記入しますし、離婚の際に新しい戸籍を作った場合は、あなたの戸籍の本籍地とあなたの氏名となります。戸籍に関する詳しい解説は、別の記事にまとめてありますので、本籍について分からないことがあれば、こちらもあわせてお読みください。
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- 氏
左側に現在の氏を記入します。離婚届と同時であれば配偶者の氏となりますし、離婚届とは別の機会に届出る場合は旧姓を記入します。右側の欄には、婚姻時の氏、つまり、配偶者(もしくは元配偶者)の氏を記入します。 - 離婚の際に称していた氏を称した後の本籍
これは、離婚届と同時に戸籍法77条の2の届を届出る場合は、新たにあなたの戸籍を作ることになるので、新しい本籍と筆頭者として、あなたの氏名を記入します。
また、あなたの戸籍に入る子どもがいる場合にも、ここには記入が必要です。
ここは、一番ややこしい部分でもありますので、分からなければ、空欄にしておき、窓口で尋ねてから記入するようにしてもよいかもしれません。
戸籍法77条の2の届を届出る際の注意点は、離婚届提出3か月以内に届出なければならない、ということと、離婚届の届出と同時か、そうでないかで書き方が変わるという2点だということを覚えておけば間違いがありませんよ。
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